地質の関係
関東地方では地質の関係で良土を得難いので、江戸で有色上塗を行なう場合の困難は想像にあまる。
当然のことながら、ここでは着色剤(顔料)の使用が考えられなければなりません。
そのような顔料として『三才図会』はまず赤色系のものを挙げています。
蟹舶丹土を将来し榜葛刺土と名つく(榜蔦刺は天竺国の名なり)。
以て漆に和し器に塗る。
赤色は朱及び辰砂に亜ぐ。
奥州津軽、肥前大村の産良し。
近年出でず。
其の他は劣る。
近頃本草の製に拠り緑磐を焼いて作る。
最も佳し。
又鉄屑を焼いて作る。
共に漆に和して辰砂に劣らず。
(巻五十五、地部、土)朱または辰砂は赤色のことに鮮やかなものとして古くから知られているが、ここではべにがらをそれに匹敵もしくは次ぐものとして記載しています。