月餅 1
陳舜臣夫妻共著『美味方丈記』は味覚に興味を持つ者にとっては、いく度繰り返して読んでも楽しみのつきるということのない本ですが、この名著の中で、月餅に一章が割かれており、これを読めば、中秋節が中国の三大節の一つとなるに至った由来や、月餅という菓子が味を豊かにしてきた経過がよくわかります。
月餅がもともと各家庭で作られ、贈ったり贈られたりしたことから、味を競い合う結果となり、おいしい月餅にはそれなりの秘伝が生じたということも、事実、その通りだったことでしょう。
月餅という菓子は、くるみ、ごま、西瓜の種、なつめ、砂糖、豚脂などを合わせて作ったあんを、小麦粉と豚脂等を組み合わせて作った一種のパイ皮でくるんだものと言ってもよいのですが、そのあんの材料、作り方、皮の作り方、焼き方などによって、各種各様の月餅ができます。